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「三つ山」は家紋風の名前か?

Block-0415  Block-0416
画像#0415          画像#0416

このブログでは、これまでこの型のデザインを「青海波」として扱ってきましたが、家紋風の名前の付け方で「三つ山」という名前もありうることをお話したいと思います。


このブロックの名前について過去に不思議ないきさつがありました。
ブロックコレクションの3大サイトと言えば、NHKに取材・放映された「江戸っ子散歩日記」と「ブロック塀のある風景」、建築専門雑誌に掲載された「Let's BLOCK !」だと思います。これは大方の賛同を得られると思います。
掲載されたブロックデザインの数は、「江戸っ子散歩日記」が約250種、「Let's BLOCK !」が450種以上、「ブロック塀のある風景」が600種以上で、蒐集数の上でも他を断然引き離しており、問題ありません。

上のブロックデザインで、「江戸っ子散歩日記」は#0415を「三つ山」、#0416を「日の出」と名付けていて、名前の変更はありません。
「Let's BLOCK !」では、記憶に自信がありませんが、最初は、左側を「青海波」、右側を「バリエーション」としていましたが、後に「三つ山」に変わりました。
「ブロック塀のある風景」では最初は左側を「三つ山」、右側は忘れました。後に両方とも「青海波」に改めています。

果たしてどれが正しいのでしょうか。


終戦後ようやく復興の兆しが見えてき始めた昭和20年代後半から30年代の始め、まだまだいろいろな面で日本色が色濃く残っていました。
そんな折、急増する住宅建設の需要にブロックが一役買いました。特に家の周囲を囲む”塀”に用いられることが多く、その見た目のデザインのお手本として”家紋”に目が向けられたことは容易に想像のつくことです。実際に作られた模様の多くが家紋の模様に似ています。
そんな中、日本の着物や工芸品や生活用品にほとんど表れてこない模様「三つ山」をブロックのデザインに利用するというのは、流れとして理解しづらいのです。それどころか枠を世界に拡げても「三つ山」をモチーフにした工芸品や日用品が、”ゼロ”ではありませんが極めて少ないのはないでしょうか(東アジアで見たことがあります)。文化史、生活史として民衆が慣れ親しんだという感じが薄い気がします。
しかし現実には存在するのですから、何かカラクリがありそうです。
一方、「青海波」は洋の東西を問わず、古い時代から使用されてきた、よく知られた図柄です。これがデザイン候補になるのは極めて自然だと思います。
日本全国津々浦々、どこに行っても「青海波」デザインのブロックを見ます。つまり多くの人が「青海波」に慣れ親しんでいるからではないでしょうか。


ではなぜ「三つ山」と呼ばれるようになったのでしょうか。

「青海波」には三つの半円形模様が使われています。
半円形の形は遠くから眺める「山」に似ているとして、これを「遠(=とお、と読む)山」と言います。つまり、「三つ山」は「遠山」が3個並べられた形をしています。

もう少し詳しく見ていきましょう。
この”3個の模様を使う”=”3個の模様の並べ方”にカラクリの秘密があるように思います。

まず、同じ形で同じ大きさの3個の模様を直線的に並べるのは ①並び ②持ち合い ③違い などの手法があります。これらはこのブログの中で始終使用していますから、説明の必要はないでしょう。

次に同じ形、同じ大きさの3個の模様を三角形に並べる手法があります。そのうちの一つは円形の中に模様を収めてしまう方法です。
模様には「頭」と「尻」がありますが、それを3個揃えて円の中心に向けることにより「(頭合わせ)三つ✕✕紋」あるいは「(尻合わせ)三つ✕✕紋」が生まれます。( )の中は省略されて呼ばれることがあります。
これらの紋の特徴は3回回映軸(120度筒回転させると同じ模様が表れるもの)を」持つ、つまり平たく言えば上下方向におかれた模様と、斜め方向におかれた模様とがあることと、中心から3つの模様への距離は等距離であること、ということです。
ちなみに「三菱」は「頭合わせ三つ菱紋」が省略されて呼ばれるものです。徳川幕府の「葵の御紋」は「頭合わせ三つ葵紋」です。
ついでに「葵紋」の仲間には「(一つ)葵」、「四つ葵」「五つ葵」や「尻り合わせ三つ葵」紋もあります。
また”梅の花”を割り模様にした「三つ割り梅紋」もこのグループにはいります。

最後に同じ形、同じ大きさの模様3個を、三角形の位置に並べながら同じ向きに整列させる並べ方があります。これを「三つ盛り」と呼びます。この紋の特徴は、① 同じ形、同じ大きさの模様が上下方向に整列していること ② 中央の模様が他の2個より高い位置にあって頂点に位置する、残り2個は同じ高さで三角形の底辺に位置する ということです。
「三つ盛り紋」をイメージし易くするため、このグループに属するグループをブロックデザインで示しますと、次のようなものがあります。

Block-0411 Block-0393
画像#0411(再掲)    画像#0393(再掲)

ここであらためて画像#0415のデザインを見てみると、まさに「三つ盛り」型に「遠山」が並べられていることが分ります。


さて本題の「三つ山」です。もうお分かりと思いますが、「(遠=とお、と読む)山紋」が三つ上向きに並べられていることが確認できました。したがってこの場合「三つ(盛り)(遠)山紋」と呼ぶのが最も相応しいと思います。

どなたかが「職人さんがそう呼んでいる。」と言う趣旨の発言をされたように記憶していますが、作ったご本人がそう呼ぶのならそれに倣うのが一般的だと思うのですが、その職人の方が紋様を間違えてそう思い込んでいたとしたらどうでしょうか。本来、単純に「三つ山」と言う時そのイメージは「頭合わせ三つ山」を想像しますから。
あるいは、気の短い方なら「三つ(盛り)(遠)山」 ⇒ 「三つ(盛り)山」 ⇒ 「三つ山」と短縮していったと考えると説明は着きます。したがって「三つ山」はあながち間違いとは言えないのです。もちろん積極的にこれが一番正しいとも言えません。

おそらく、伝統的模様である「青海波紋」をブロックデザインにするとき、ブロックの表現スペースを考えれば、波の一部を切り取る必要があります(参考図のように)。
青海波図案
参考図
青海波模様のトリミング

青海波模様の一部を切り出したものを原型とし、ブロックに成型すれば画像#0415のようになります。
また、画像#0416が#0415と同系列のデザインであることは誰が見ても分るでしょう。参考図でトリミング位置を少し変えれば#0416と同じようなデザインになることも明らかです。「三つ山」と「日の出」などという異種のものを発想する方が、たとえ職人の命名であっても、不自然です。

しかし「青海波」は連続模様ですが、画像#0415はどのように並べても連続模様には見えません。むしろ「山」のイメージの方が相応しいくらいです(もっともこれは漢字文化圏の人の反応かもしれません)。逆に「山」という字を丸く表現すると#0415のようになるでしょう。
家紋に明るい人なら分ると思いますが、調べてみると「三つ遠山」や「三つ寄せ山」はすでに家紋に乗っていますが、幸いなことに「三つ山」はまだ空席になっています。空席があるなら他の人が間違えてもそれは間違えた人が十分下調べをしなかったことに原因があります。ようするに早い者勝ちです。

そういういくつかの条件が重なって「三つ山」は生まれたのではないでしょうか。
蓋し、「青海波紋」を切り出してブロックに成型してみると「山」のように見えたというところが最もプリミティブな「三つ山」誕生の瞬間だと思います。それ以外は後から取って付けた”怪しげな伝説"に過ぎません。
このように「三つ山」は「山」から出てきた意匠というよりは、東西共通のベースとしての「青海波」から派生してきたと考える方が自然だと思います。

最後に、ではどの呼び方がよいのでしょうか?

私は「青海波」説を採っていますが、どれが正しいかと問われると、「青海波」説も「三つ山」説も、両方正しいと思います。ご自分の考えでどちらをお使いになってもよろしいかと思います。ただし「日の出」はあまりにもかけ離れています。

皆さんもご存知と思いますが、”井”の形をしたものを、もともとは「井桁」と呼んでいたらしいのですが、家紋では「井」形のものを「井筒」、立角様のもの(「井」を45度傾けたもの)を井桁と呼んでいます。このように言葉というものは変わる可能性があるものですから、あまり固執しない方がよいかもしれません。


画像#0415 あるいは#0416 を「松」と命名しておられるメーカーさんがいらっしゃいます。
このデザインから「松」を連想された想像力には敬意を表しますが、それはその場での一瞬の印象であって、詳しいストーリーがないと、にわかには納得しづらいです。

このブログでも5月21日に「松紋」型ブロックをご紹介しましたが、ほとんどが地抜き型のものです。それも”光琳松紋"を変形したと思われるものがほとんどです。
透かし型の「松紋」型ブロックはまだ見たことがありません。見つけたら自慢できそうです。
画像#0415を「松ぼっくりに」や「松傘」に見立てるのはありかなと思いますが、「松」の樹木に見立てるのは無理筋ではないでしょうか。確かに歌舞伎などの舞台では枝もたわわな松の木が描かれたりしていますが、ちょっと感じが違うと思うのです。

もちろん商品名については第三者が口出す筋合いはありませんが、「青海波」または「三つ山」で不都合なことがあるのでしょうか。それとも新しいデザインの工夫をしたとか、製法に新しい方法を開発したので従来のイメージを一新したかったのか、あるいは何かほかの理由があるのでしょうか。従来の命名を「松」に変えて売り上げが伸びたのでしょうか。是非そうであってほしいと思います。


この「松」の例に限らず、ブロックメーカーが勝手に名前を付けたブロックの模様があります。最近見たものでは

Block-0417
画像#0417

このブロックを見て、花をイメージされる方は結構大勢いらっしゃいます。メーカーさんは「梅」の花だとおっしゃるのですが、梅の花弁は5枚です。横にある櫛状の模様はなんでしょう???
家紋集を見ていただければ分ると思いますが、私は「赤鳥紋」にそっくりだと思います。
このデザインは大変人気があるようで、全国的にあちこちで散見できます。面白いことに、散見できる地域は全国バラバラなのに、模様自体は地域差がなく同じ形をしています。

以上のように、メーカーだからと言ってデザインを正しく理解しているとは限らないことがあります。(もとより家紋的な見方がすべてではありませんし、デザインを見た人の印象は人により異なるでしょうけど。)
最近は家紋のことが分らない方が多くなってきていますので、正しい知識を残していくことも大切だと思うようになりました。
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